魚はコレステロールの多い食品ですが、良質なたんぱく質源として外せない食品ですので、その特性を知って上手にとりたいものです。
魚のコレステロール含有量を、身の部分、血合い、皮、内臓に分けてみると、身の部分が一番少ないことが分かっています。しかも赤身でも白身でもほとんど差がありませんので、どの魚でもはらわたを除いて切り身にして食べればそれほど問題ではありません。逆に、ワカサギやシシャモなどの小魚は、内臓や血合いも全て食べますのでコレステロールを増やしてしまいます。また、魚のすり身を使った練り製品は、中に何が入っているか分かりませんので注意が必要です。
土用の丑の日などに食べられることが多いウナギですが、その1串の中には300ミリグラムほどのコレステロールが含まれています。コレステロール値が高いと言われる卵1個のコレステロール含有量が21ミリグラム程度ですから、その多さに驚きます。一般的にはあまり頻繁に食べることがないと思いますので心配ないでしょうが、たまに食べるときもほどほどにしましょう。ちなみに、寿司ネタでお馴染みのアナゴも、ウナギと同様に考えておいたほうが無難です。
また、ワカサギ、シシャモ、しらす干し、ドジョウなど、丸ごと食べる小魚もコレステロール含有量が高い食品です。水分が少ないだけでなく、内臓や血合いも食べますし、卵が含まれていたりもしますので、注意が必要です。同様に小魚のつくだ煮や煮干しも注意が必要です。カルシウムやビタミンAは牛乳や緑黄色野菜で補うようにしましょう。
イカはコレステロール含有量の高い食品になります。刺し身、煮物、するめ、裂きイカ、イカあられと全ての調理、加工品において特に変わりありませんが、やはり内臓や皮や足の部分が多いようです。
イカの塩辛は美味しい食品ですが、肝を混ぜて作るのでコレステロール含有量が多いことになります。また塩辛は塩分も強いので高血圧の人は避けたい食品です。
タコはイカに比べるとコレステロール含有量が多少少ないようですが、やはり食品全体からみればコレステロール値が高い部類に入ります。イカと同様に注意が必要な食品にかわりありません。
エビやカニも魚卵やイカに次いでコレステロールの多い食品です。伊勢エビ一尾(約250グラム)では、おおよそ150グラムの身があるとした場合、そのコレステロール含有量は約275ミリグラムになります。芝エビ10グラムの場合、身は6グラムぐらいですが、五尾食べると約50ミリグラムのコレステロールをとったことになります。
エビよりもカニのほうが多少コレステロール含有量が少ないのですが、肉よりは多いようです。カニの身よりカニの子のほうがコレステロール含有量は多くなっています。いずれも動物性たんぱく質源ですが、コレステロール値が高い食品なので、食べすきないように注意が必要です。
スジコ、タラコ、数の子などの魚の卵は、鶏卵と同じようにコレステロール値の高い食品です。しかもこれらの食品は、卵の塩漬けのようなものですから、高血圧にも良くないので注意が必要です。
タラコを例にとると、6パーセント以上の食塩が使われているので、100グラムのタラコを食べると6グラム以上の塩分をとったことになります。スジコや数の子の場合も同様なので、やはり高血圧の人は避けたほうが良いでしょう。
ただし、これらの食品は、大好物という人も多いと思います。ですから、毎日でなければ少量は大目に見たいところです。
魚の干物は、美味しくて値段も安いので、よく食卓にのぼるものです。しかしこの干物は保存食という性質上、塩分がそうとう強く、中くらいのアジ1枚が約50グラムとした場合、塩分は約1.5グラムとなります。干物だけをおかずにしてごはんを食べたりすると塩分の取り過ぎになってしまうことがありますので、注意が必要です。
しかも、干物は卵が含まれていることが多いため、コレステロール値が高くなります。卵が含まれていなくとも干物自体のコレステロール値は高いので、注意が必要です。
ちくわなどの水産練り製品のコレステロール含有量は、思いのほか少ないのが現状です。かまぼこ、はんぺん、さつま揚げ、魚肉ソーセージなどもコレステロール値が低いのです。これらの成分を調べれば分かりますが、でんぷんなどを使っている場合が多く、動物性食品とは考えないほうが良いようです。
コレステロール値が低くて良い食品と思いがちですが、魚介類の割合が少ないということは、良質たんぱく質の量も少ないことになります。その反面、かまぼこの食塩の割合は2.5パーセントくらいなので、食事制限をしている場合は避けたい食品になります。
塩辛や佃煮は味が濃いのでごはんをつい食べすぎになります。その分、塩分も多くとっていることになるので注意が必要です。
イカの塩辛の塩分は、約11.3パーセントあります。
例えば、イカの塩辛を茶さじで軽く山盛り一杯で約10グラムになりますので、茶さじ一杯分の塩辛を食べると1グラムの塩分をとったことになります。このことから多く食べると塩分の量も多くなるので、これは味を楽しむ程度として、ごく少量で抑えるべき食品です。
貝類はコレステロールが多いと思われていますが、100グラムあたりアワビ91ミリグラム、カキ64ミリグラム、シジミ54ミリグラムと多くはありません。一度にたくさん食べなければ問題は無いと思います。ただし、つくだ煮などは塩分が多いので、高血圧の人は避けたいものです。
ちなみに、ナマコにはコレステロールがほとんど含まれていませんので、安心して食べられます。でも、ナマコの腸で作るこのわたは塩をかなり使いますので、高血圧の人はやはり避けたい食品になります。